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名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)885号 判決 1986年9月26日

本籍

愛知県葉栗郡木曽川町大字黒田字古城一七番地の一

住居

同県豊橋市中岩田三丁目一二番地の一六

キャバレー経営

横山慎一郎

昭和二三年三月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官飯塚和夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、愛知県豊橋市中岩田三丁目一二番地の一六に居住し、同県同市松葉町一丁目四九番地等において「ワシントン」などの屋号でキャバレーを経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、所得税の確定申告に際しては、所得金額に関する収支計算をせず適宜の金額を計上するところのいわゆる「つまみ申告」を行う方法により、所得の一部を秘匿した上

第一  昭和五八年分の実際の所得金額が七九一九万一一八〇円で、これに対する所得税額が四四〇二万四七〇〇円であるのに、同五九年三月一四日、同市前田町一丁目九番地の四所在の豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九〇〇万円で、これに対する所得税額が一五五万二二〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額四二四七万二五〇〇円を免れ

第二  同五九年分の実際の所得金額が五八四一万一六一五円でこれに対する所得税額が二八八五万六八〇〇円であるのに、同六〇年三月九日、前記豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八四〇万円で、これに対する所得税額が一二九万九五〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額との差額二七五五万七三〇〇円を免れ

もって、いずれも不正の行為により所得税を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の検察官(二通)及び大蔵事務官(七通)に対する各供述調書

一  小久保孝博、本田敏博、中川和義の検察官に対する各供述調書

一  小久保孝博(三通)、本田敏博(三通)、中川和義(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成(昭和六〇年一二月一六日付け)の脱税額計算書説明資料

一  大蔵事務官作成の被告人方(同年三月一八日付け)、小久保孝博が隠匿していた資産(同年三月一八日付け)についての各臨検てん末書

一  大蔵事務官作成の被告人方(同年三月二五日付け)、小久保孝博の隠匿していた資産(同年三月二〇日付け)についての各写真撮影報告書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成(同年一二月一一日付け)の五八年分の所得税の確定申告内容についての証明書

一  大蔵事務官作成(同年一二月一八日付け)の自昭和五八年一月一日、至昭和五八年一二月三一日の脱税額計算書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成(同六一年一二月一一日付け)の五九年分の所得税の確定申告内容についての証明書

一  大蔵事務官作成(同六〇年一二月一八日付け)の自昭和五九年一月一日、至昭和五九年一二月三一日の脱税額計算書

(法令の適用)

一  判示第一及び第二の各所為

所得税法二三八条

一  刑種の選択

懲役刑と罰金刑を併科

一  併合加重

懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情最も重い判示の第一の罪の刑に加重)、罰金刑につき刑法四五条前段、四八条二項

一  労役場の留置

同法一八条

一  刑の執行猶予

同法二五条一項(懲役刑につき)

(裁判官 宮平隆介)

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